エンジニア向け英語入門第1回:なぜ文型から始めるのか?

技術者にとって最も合理的な英語習得法

英語ができるエンジニアと、そうでないエンジニア。
その差は今後、技術力や経験年数よりも大きな意味を持つかもしれません。

読み書きだけでなく、AIに対して正しく自然言語で指示を出す力が求められ始めているからです。
つまり、英語は「第二のプログラミング言語」になりつつあるのです。

そしてその英語を学ぶうえで、**最も合理的な出発点が「文型」**です。

目次

英語もまた「構文」からなる言語である

エンジニアなら誰でも、プログラミング言語を**「構文」から学ぶ**経験をしています。

function greet(name) {
  return "Hello, " + name;
}

このコードを見たとき、私たちは最初に「function」「return」などの意味よりも
**どこに何が書かれているかという“構造”**を読み取ります。

たとえばこのように:

  • functionで関数定義
  • greetが関数名
  • nameが引数
  • {}が本体

つまり、単語の意味を知らなくても、構文を知っていれば読み取れることがあるのです。

英語もまったく同じです。

英語の「構文」としての文型

英語は語順で意味が決まる、構造中心の言語です。
その構造を読み解くためのルールが**文型(ぶんけい)**です。

文型例文意味
S + VThe server crashed.サーバーが落ちた
S + V + OShe updated the system.彼女がシステムを更新した
S + V + O + CThey named the repo core.彼らはそのリポジトリを「core」と名付けた

主語(S)と動詞(V)がなければ英語は成立しません。
プログラムで言えば、関数名と括弧がなければ関数が動かないのと同じです。

英語を読む力、聞く力、さらには書く力は、この文型の上に構築されていると言っても過言ではありません。

単語ではなく文型から入る理由

私たちはプログラミングを学ぶとき、辞書を引いて「let」の意味を最初に覚えたりはしません。
まず「文法」、つまり構文のかたちを理解します。

英語でも同じです。

「compile」が何を意味するか知らなくても
The code didn't compile.
という文の主語+動詞の構造が見えれば、大まかな意味がつかめます。

文型を理解していれば、知らない単語が出てきても、
**「それは何の役割なのか(主語?動詞?目的語?)」**という視点で文を“構文解析”できるようになります。

私たちは子供ではない──だから構造から入る

子供は文型を学びません。彼らは周囲の音や使われ方を「感覚」で吸収します。
けれど大人には、それはできません。

しかし、大人には「知識を先に理解できる」という圧倒的なアドバンテージがあります。
構造やルールを意識的に学ぶことで、言語を短期間で習得することができます。

つまり、**文型は「英語の構造を理解するための最短ルート」**なのです。
英語のセンスがなくても、理解力とロジックで乗り越えられる──それが文型学習の強みです。

文型を学ぶことのメリット

  • 知らない単語が出ても、文の骨格から意味を推測できる
  • リーディング(読む力)が格段に上がる
  • 正しい語順で文章が書けるようになる
  • 話すときも「主語+動詞」を意識でき、通じやすい
  • プログラミングと同じ「構文思考」がそのまま活かせる

英語はAI時代の開発言語になる

生成AIの普及によって、英語でプロンプトを書き、設計を指示し、ドキュメントを書く場面は急増しています。
自然言語が、コードそのもののように意味を持ち始めているのです。

そしてその主戦場は、英語です。

だからこそ、今あらためて英語を「構造から」学ぶ価値があります。

次回予告

第2回:5つの基本文型──英文は“関数”のように構造で読める

中学で習った「SVO」などの基本文型が、英語を構文的に理解する力をどう鍛えるのか。
実際の技術文書を用いながら、構文の分解トレーニングを行います。

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