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GPT-4.5とは何か?
GPT‑4.5(コード名:Orion)は、OpenAIが2025年2月27日に発表した最新の研究プレビュー型大規模言語モデルです。ChatGPT ProユーザーとAPI開発者を対象に提供が開始され、その後PlusやTeam/Enterpriseプランにも拡大されています。
GPT‑4.5は、従来モデルとの比較において以下を重視しています:
- 感情的理解力(EQ)の向上
- ホールシネーション(誤情報生成)の抑制
- 複雑な指示への適応力強化
主な技術的特徴と訓練プロセス
大規模事前学習(Pretraining)
モデルは因果トランスフォーマー構造を基盤に、Web・書籍・会話ログなど数兆トークン規模のデータで事前学習しています。学習環境にはAzure上の大規模GPUクラスターが利用されています。
SFTとRLHF
- SFT(教師あり細調整):模範的な質問と回答ペアに基づき、指示追従性能と文体整合を向上。
- RLHF(人間フィードバック強化学習):複数の候補応答を人間評価者が評価し、PPOアルゴリズムで最適化。
安全性向上の手法
OpenAIはPreparedness Framework(リスク評価体制)を導入し、偏見・悪用・安全性の観点で事前テストを実施しています。
提供プランと制限
プラン | GPT-4.5 利用状況 |
---|---|
Free | 非対応 |
Plus | 約50メッセージ/週(変動制限あり) |
Pro / Enterprise | ほぼ無制限(2025年時点) |
- ChatGPT Proに先行展開された後、Plus/Teamユーザー向けにも順次配信中。
- API枠でも利用可(ただし非常にコスト高い)。2025年7月14日以降、gpt‑4.5‑previewはAPIで非対応となる予定です。
できること・できないこと
強み
- 卓越した感情インテリジェンスと自然な対話能力
- 誤情報率の低減(誤情報率37.1%、GPT‑4oは61.8%)
- ファクト生成や参考提示の精度向上、複雑指示への対応力強化
限界
- 音声や動画などのマルチモーダル処理は非対応(画像・ファイルは対応)
- 応答速度はGPT-4相当であり、GPT‑4oのような高速性はない
- API利用コストは高く、戦略的な用途設計が必要
GPT-4.5と他モデルとの比較
特性 | GPT‑4o | GPT‑4.5(Orion) |
---|---|---|
性能傾向 | 高速かつマルチモーダル対応 | 感情性・精度性・安全性重視 |
感情理解 | 高 | 非常に高い |
ファクト性 | 良好 | さらに改善(誤情報率37%) |
モダリティ | 音声・画像・動画対応 | 画像対応(音声・動画非対応) |
速度 | 非常に速い | GPT‑4相当(やや遅い) |
コスト | 安価 | 高価 |
今後の展望と位置づけ
OpenAIはGPT‑4.5を「最後の非推論強化モデル」と位置づけ、将来のGPT‑5では推論(chain-of-thought)とマルチモーダル統合を目指しています。
GPT‑4.5は、その橋渡し的役割を担い、精密なモデル制御や対話品質の高度化に寄与する設計です。
出典・参考資料
- 1. OpenAI公式(GPT‑4.5 “Orion” 発表)
- https://openai.com/index/introducing-gpt-4-5/ help.openai.com+15openai.com+15wired.com+15
- 2. OpenAIヘルプセンター(GPT‑4.5 in ChatGPT)
- https://help.openai.com/en/articles/10658365-gpt-4-5-in-chatgpt help.openai.com+3help.openai.com+3help.openai.com+3
- 3. 小売り API情報・提供状況(GPT‑4.5-previewのAPI廃止予定)
- https://community.openai.com/t/gpt-4-5-preview-model-will-be-removed-from-the-api-on-2025-07-14/1230050 medium.com+13community.openai.com+13community.openai.com+13
まとめ
GPT‑4.5は、OpenAIの最新研究プレビュー型モデルであり、
- 感情の理解と自然な対話生成に優れる
- 誤情報の抑制や複雑指示への耐性を強化
- 音声・動画は非対応だが、画像・ファイルは可能
- Proユーザーにはほぼ無制限提供、Plusは週約50メッセージの制限あり
- API利用は高コストで、段階的に廃止予定
- GPT‑5へ向けた「精度型」進化の中継点
という特徴を持ち、精度と共感性を重視した用途に適しています。
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